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幼女戦記(5)

幼女戦記(5)


原作: カルロ・ゼン(原作)
キャラクター原案: 篠月しのぶ

千載一遇の好機

どんなに優れた研修過程を修了しても、それは研修であり、現場とは大きく異なります。幼女大隊長は研修の結果を安全に見極める実戦訓練の機会を得たことに嬉々している描写より当巻は始まります。さて、ここで面白いと思ったのは解釈の相違です。実戦訓練と揶揄されたものの事実は帝国が更なる脅威に直面しているものであり、軍部トップとしては心穏やかな事態ではないのでした。この事態を収拾出来なければ、現在、戦争状態にある列強国に隙を与えて、極めて危険な状況が進行することが目に見えていました。しかし、それを千載一遇の好機と解釈されたのだから、酔狂にも程があると思われても仕方ない。ただ、現実の事象に当て嵌めると、この解釈は決して悪いものではないような気がしました。特に状況が悪いと誰の目から見てもわかる場面から見事成果を勝ち得たならば、それは評価に値しますし、一目置かれることにもあります。もちろん、有事の状況での発言としては軽率かもですが、誰よりも明瞭に全てを掌握していれば最悪の事態は最高の好機と成り得るかも知れませんね。


常識・教育

初めての実戦において、心から信頼を置いていた副官が敵前逃亡と見られる行為を取り、幼女大隊長の逆鱗に触れるシーンがあります。その行為の真偽を問い正した結果は教本通りの模範的な行動・作戦であったことがわかりました。この話を通して思ったことは常識・教育は普遍的なものではなく、時代の流れで変異するものであることを再認識させられるものでした。技術的進歩は凄まじいスピードで進行しているが、それに対する人への教育というのは全く追いついていないと思います。よい例では社内コミュニケーションを一律チャットに移行したことによって発生するメリットを享受できるのはよいが体型的なルール作りがなされない、またはユーザーの使い方の教育を受けていないために情報が逆に細分化され、混乱を招くなどよくあるケースです。当巻では常識と呼ばれていた概念が崩壊し、まさに新しい概念構造が定着し、常識化していく過程が描かれており、そのプロセスを読めるのは非常に興味深いものがありました。戦争の歴史も陸上から海上、そして空上に戦場が移行していき、今は情報戦とも言われますが、どれほどの人がその点を明確に理解し、その状況に応じて「常識」を行使できるのでしょうね。


おすすめ

もし読んでいなかったらこれを機に是非読んでみてくださいー。幼女とか書いてありますが、内容はかなり洗練された軍事モノだと私は思っています。


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